村中 貴士(編集&ライター)のブログ

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禁煙について考える(ただしマークで)

受動喫煙問題が国会等で話題となっている。

僕はもともとタバコを吸わないので、禁煙について考えたことはもちろんない。

 

食事中に近くでタバコを吸われるのは、さすがにちょっと抵抗はある。が、まあ、それぐらいだ。

 

しかし、他人事ではいけない。改めて、禁煙問題について考えなければならない。

そこで、街中にある「禁煙マーク」について調べてみた。

 

サインとかピクトとかいう言い方もあるが、分かりやすく禁煙マークにしよう。

集めてみると、思っていた以上にいろんなバリエーションがあった。さっそく紹介していこう。サブタイトルは「マークから見る禁煙問題」である。

 

最も多かった「胃袋型」

禁煙マークといえば、まずこれを思い浮かべる人が多いだろう。 

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 「こんなの、どれも同じでしょ?」と思う人が大半かもしれない。では、微妙な変化を味わっていただこう。

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お分かりいただけただろうか。そう、煙の太さや角度、色が微妙に異なるのだ。

 

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これはタバコの向きが逆になっている。「胃袋型」と命名した意味がなんとなくご理解いただけただろう。「大腸型」「小腸型」も迷ったが、なんとなく胃袋が一番近いような気がしたので。

 

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煙が手書き。やっつけ感が出ている。そしてタバコがやけに細い。

 

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これは煙というより迷路だ。マウスで無理やり書いた感が出ている。

 

建物の1階でよく見る「はてな型」

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これもよく見るパターン。煙がクエスチョンマークになっているので「はてな型」とした。ビルや商業施設の1階の隅に、「火気厳禁」などと一緒に並んでいる。

 

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オシャレを演出する「黒バック」

集めていて気づいたのだが、大手企業が入っている新しいビルやおしゃれな商業施設では、禁煙マークが「黒バック」になっていることが多い。黒と赤のエクスタシーである。

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日本橋、大手企業が入っているビルのトイレにて。

 

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東京ミッドタウンのトイレにて。このあたりから、トイレに入ると必ず禁煙マークを探すようになってしまった。

 

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これは赤を使用せず、白と黒だけ。そこはかとない葬祭感。

 

煙は1本か2本か、3本か

胃袋型・はてな型は、煙を立体的に描こうとしている。一方、シンプルに線だけで描いているものも多かった。まずは1本。

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影はつけているものの、全部赤というのは珍しい。

 

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松戸市にて。煙というよりカモメっぽい。

 

つづいて、2本のパターン。

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やけにポップなデザイン。先端のデジデジ感が気になる。煙はなぜ紫色? と思ったが、「紫煙」という言葉があるのを思い出した。なるほど、パープル・ヘイズ仕様か。これをデザインした人はジミヘン好きだろう。

 

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「監視中」の目が怖い。目玉をなぜ上向きにしたのか。目の下のクマから、寝ずに監視してるぞアピールが伺える。

 

続いて3本パターン。

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不二家レストランにて。「タバコは百害あって一利なしよ」と舌を出しながら警告するペコちゃん。

 

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都営新宿線新宿駅エスカレーターにて。若干古臭いが、悪くない。レトロモダンの装い。火のラインが4本なのに対し、煙は3本である。

 

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英語表記。これもちょっとオシャレ感が出ているが、どこの禁煙マークか分かるだろうか?

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正解はスタバ。煙を3本にしたのは、ロゴの女性(人魚)の髪型に合わせているのかもしれない。

 

ファーストフード対決はモスバーガーが優勝

ファーストフード店の禁煙マークも、意外と個性が出ていた。

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マクドナルド。タバコも煙も青色。

 

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ロッテリア。枠が四角い。これもロッテリア自体のロゴに合わせているようだ。

 

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ファーストキッチン。オーソドックスな胃袋型。

 

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モスバーガー。ちょっとオシャレ感が出ている。

 

4つ並べると、こんな感じだ。

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マクドナルドも悪くないが、デザインで比較するとやはりモスバーガーが優勝と言っていいだろう。右下にイラストが描かれているのもポイントが高い。

 

キャラクターにして歩かせる

つづいて「路上喫煙禁止」マーク。

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新宿区にて。目と足をつけてキャラクター化している。胴体がないのに、吸った煙はどう処理しているのか。

 

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こちらは台東区。新宿に比べるとやさぐれ感が出ている。ポケットに手をつっこみ、「どうせ俺なんて」と言わんばかりの猫背だ。パチンコで負けた後だろうか。あまり関わりたくないタイプである。

 

この2つは、厳密に言うと禁煙マークではなく「路上喫煙禁止」「歩きたばこ禁止」マーク。なぜ普通の禁煙マークではダメなのかというと、歩かせる必要があるからだ。たばこをキャラクター化する苦労が垣間見える。

 

規格外の禁煙マークたち

その他、分類できなかったものもいくつか紹介しよう。

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中央区の公園にて。野良禁煙マークという形容がふさわしい。味わい深い。

 

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一瞬、写真を取り込んだのか? と思ったのだが、左下をよく見るとイラストである。つまり右上の先端も絵で描いているのだ。リアルさという意味では1位かもしれない。これを作ったデザイナーは間違いなく”凝り性”タイプである。

 

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新宿の立体駐車場にて。手が登場する禁煙マークは珍しいなと思い、ガードマンの了解を得て撮影。「何を撮るの?」とかなり不審がられてしまった。

デザインに昭和感があふれている。往年のブルーバックスか11PMか、その辺りの時代を彷彿とさせる。なぜだか、むかし実家にあった手品の本を思い出した。

 

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これは煙というよりエクトプラズムだ。出てはいけない、得体の知れないものがにょろりと飛び出している。南無。

 

「胃袋型」が圧倒的なシェア

どの型が多いか、グラフ化してみた。サンプル数は82。本当は100集めるつもりだったのだが、我慢できなくなってしまった。

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「胃袋型」が65%とかなりのシェアだった。途中から、ちょっと変わったマークばかり集めてしまったので、実際は「はてな型」のシェアがもう少し多いと思われる。

 

煙が出ている/出ていない、火がついている/ついていない、のシェアも棒グラフで示す。先端が少しでも赤くなっているものは「火あり」とした。

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やはり「煙あり」が圧倒的なシェアだ。「火のない所に煙は立たぬ」とよくいうが、先端が赤くなくても実際には火がついているから、気をつけろ!(長井秀和風に読んでください)

 

 胃袋型が多い理由はJISだった

そもそも、なぜ胃袋型が多いのか。調べてみると胃袋型は、JIS(日本工業規格)によって定められたマークだった。(正確にはJIS Z8210)

また「はてな型」は、ISO(国際標準化機構)の図記号が元になっているとのこと。

公的な機関が定めたマークが広く使われているという、ごく当たり前の理由であった。

 

f:id:mrnk0504:20171109193950j:plain画像出典:株式会社石井マーク HP より)

海外では一番左のマーク(ISO 7010)が広く使われているようだ。世界の禁煙マークも、集めたらきっと面白いと思う。

 

 

<参考サイト>

国民生活センター 生活知識情報「安全、禁止、注意などを示す図記号2」

http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201308_06.pdf

日本標識工業会 標識Q&A

http://signs-nsa.jp/8hyouQA/

株式会社 石井マーク 図記号データベース 「禁止」全般

 http://www.ishiimark.com/pict_prohibition01.html